ハイパーインフレはあるのか 人口減少でどうなるか
これまで、金融緩和と国家の財政破綻について、本当のところどうなのかについて書いてきました。
金融緩和は需要が小さいデフレの時にやっても、インフレ率は上がらないですし、
国家の財政破綻については、今の日本ではあり得ないという話でした。
今回はインフレを起こす原因として、「少子高齢化によって人口が減少すること」について書いていきます。
人口減少により供給能力が落ちる
国立社会保障・人口問題研究所の調べによると、50年後の人口は、現在の約1億2700万人から約8800万人まで減少すると予測されています。
ということは、50年で約4000万人も人口が減少するということですね。
少子高齢化の問題点は何かというと、ただ人口が減るということだけではなく、
高齢者の割合が大きくて、若者の割合が小さいということですから、働く人の数が少ないということなのです。
働く人が少ないということは、供給能力が不足することになりますから、モノ不足になり、インフレになっていくということは十分にあり得ることです。
供給能力については「インフレとデフレについて理解しよう」という記事に書いていますので、読んでみてください。
人口は減り続けるのか
ただ、実際に人口減少→インフレという流れになるためには2つ条件があります。
1つは、予想通り人口が減少し続けること
もう1つは、科学技術が発達せずに、生産力が上がらないこと
まず、人口が減少し続けるかどうかについて考えていきましょう。
現在1人の女性が生涯で生む子供数の平均は1.45ですが、
平均2人ぐらいにならないと人口は維持できないと言われています。
では、なぜ子供の数は減少するのでしょうか。理由は1つではありません。
・デフレにより、所得が減り、結婚や子供を産むことに不安を感じている
・個人の自由を尊重するようになり、結婚するより1人でいることを選ぶ人が増えた
・相手に求める理想が高くなり、妥協できない人が増えた(同時に相手に選ばれない人も増えた)
などなど
結婚したくてもなかなかできないという人もいますが、
結婚自体したくないという人も増えています。
個人の自由を求めると、結婚は不自由に感じるということです。
ただ、子供が減少する理由の中にある、「個人が自由を求める」ということは時代の流れですから、この傾向を変えることはなかなかできませんから、人口減少を止めることはかなり難しいことです。
ただ、デフレで景気が悪いことが原因で結婚できない人が増えているなら、デフレを脱却すればその分の人口減少は抑えられます。
デフレになると人口は減る
現在はデフレですから、所得が上がらない時代です。
そんな時代に、結婚して子供をたくさん育てるということは、金銭的な不安を感じて
子供を産もうとする人が減ってしまいます。
仮にデフレがずっと続くなら、子供の数はますます減っていきます。
ですが、デフレで減少した分は、デフレから脱却することで増やしていくことができます。
要するに好景気になれば所得も上がっていき、
結婚する人や子供を産む人は増えていくのです。
所得が低ければ、結婚したら余裕がなくなり、旅行になんて行きたくても行けませんが、
所得が高ければ、家族と一緒に旅行に行ったり、趣味を続けることだってできます。
そう考えたら、デフレが少子化に与える影響はかなり大きいと言えます。
今後はデフレが継続するかどうかで、人口減少のスピードが変わってきます。
別の記事で話したように、デフレの時に政府が正しい政策を行えるかどうかが重要になりますので、チェックしていきましょう。
科学技術が発達しないとインフレになる
人口が減少したときの対策として考えられる対策は2つあります。
1つは、科学技術を発達させて、少ない人口でもたくさんのモノやサービスが提供できる体制を作るということと、
もう1つは単純に、どこかから人を集めて、人口を維持することです。
1つ目の対策である科学技術の発達について、まずは考えていきましょう。
少子高齢化によって、働く若者が減っていくと
供給能力が落ちてしまいますから、モノやサービスが不足してしまい、値段が上がっていくというのは、その通りです。
まして今後はAIが発達し、職業の半分ぐらいが必要なくなると言われていますから
ますます人の数は必要なくなっていく流れなのです。
もしも実際に少子高齢化で供給能力が低くなっていくと、買いたい人がいるのに売れない状態になっていくということですから、企業としては大きな損失となります。
だからなんとか供給能力を高めようとして、少ない人数でもたくさん生産できるように設備投資をしていくわけです。
少ない人数でたくさんのモノやサービスを提供できるようになるということは、少ない人数で経済を発展させるという意味ですから、一人一人のお給料が上がり所得が増えていくということです。
所得が上がれば、今よりも結婚する人の数や、子供を産もうとする人の数は増えていきます。
だから人不足ということは、経済を発展させる良い機会でもあるわけです。
移民は是か非か
もう1つの対策は、日本以外の国から人を集めるという方法です。
日本で人口が減少するなら、外国人を受け入れればよいという考え方です。
ただし、移民受け入れには問題が3つあります。
1 技術の進歩が遅れる
2 デフレになりやすい
3 治安が悪化する
移民を受け入れて、供給能力の不足を補うという政策が現在進められていますが、これをやると、人が不足しませんから、供給能力が落ちません。
要するに人が不足しなければ、これまでと同じようにやればよいということになりますから、企業は設備や技術へ投資する必要があまりなくなってしまいます。
必要性がなければ、科学の発達のスピードは遅くなります。
しかも日本人よりも安い賃金で働く人たちが増えるわけですから、お給料が上がらずに所得が増えていきません。
所得が上がらなけば、インフレどころかますますデフレ化していき、日本人の人口はどんどん減っていき、それを補おうとして外国人の人数がどんどん増えていくという流れになってしまいます。
さらに、所得の低い外国人が増えていけば、その分治安が悪化していきます。
治安が良いことで有名だったスウェーデンは、移民を受け入れたことで、レイプなどの犯罪が増えたとして報道されてします。
人口減少に対しての対策としては、移民受け入れは最もやるべきではない政策だということですね。
自然災害によるハイパーインフレはあるのか
さらにここからは、自然災害による人口減少についても少し考えてみましょう。
仮に、大規模な自然災害によって、日本の供給能力が大幅に破壊されてしまった場合どうなるのかということです。
何度も言いますが、ハイパーインフレは年率13000%を超える規模を言いますから、それはかなり現実離れしすぎだろという話をしてきました。
去年1000円だったのに、今年になったら130倍の13万円超えるということは、
金融緩和をしてもまずあり得ない話ですし、
国の借金で財政破綻する~なんてこともそもそもありませんし、
少子高齢化で人口が減少する程度でもそんなインフレ率にはなりません。
ただ、1つだけ高いインフレ率が起こり得るとすると、
超大規模な自然災害によって、国内の企業が壊滅状態になり、
モノやサービスを提供する会社がなくなったり、
農作物も取れなくなったりなどの、超飢餓状態に陥った場合です。
だからハイパーインフレはあるのかという問いに対する答えは、可能性は0ではないということです。
結局インフレ率は需要と供給のバランスで決まりますから、
供給<<<<<<<需要
というような、欲しい人はものすごく多いけど、全然供給が足りないという事態になれば、インフレ率は上がるのです。
だから自然災害の規模が大きいほど日本の供給能力は破壊され、インフレ率は大きくなります。
ただ、大東亜戦争後の日本でも物価は4倍程度だったことを考えると、
物価が130倍を超えるハイパーインフレともなると、とてつもない巨大な災害になりますから、
想像しただけでも恐ろしくなりますね。
それこそ、現金とか株とかの問題ではないぐらいの危機的状況になってしまいます。
今後の株選び
以前の記事「利益が最大化する投資家マインド」でも書きましたが、
株を買うということは、会社に出資をして、その会社の事業を応援するということです。
これまで話したように、今後の日本は下の2点が大きな課題になってきます。
1人口が減少し、供給能力が段々落ちていく可能性が高いこと
2自然災害の多発国であり、大規模な自然災害によって供給能力が大きく損なわれる可能性が高いこと
これら2点を見て、日本はおしまいだから外国へ逃げろみたいな話ではなく、
これらに以下に備えていくのかが重要になります。
世の中にはたくさん会社がありますが、今後はこれらの問題に取り組んでいるような会社を選んで、
その事業を応援するという株の選び方が必要になるということです。
このような大きな視点を持っているかで、株の選び方も変わってきますので、ぜひ参考にしてください。
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