ROAとROEについて深く理解しよう
お金を稼ぐときに必要な技術は2つあります。
1 資産を作る技術(ストック面の技術)
2 その資産からお金を生み出す技術(フロー面の技術)
この2つです。
この2つの技術が高い会社を選んでいくということが、株選びの基本となります。
今回は、2つ目の技術である「資産からお金を生み出す技術」の高い会社を選ぶ際に必要となる
ROA(総資産利益率)とROE(自己資本利益率)について書いていきたいと思います。
資産(ストック)の基礎

まずは資産(ストック)についておさらいしましょう。
資産を作るには、元手となるお金が必要です。
お金を用意する方法は2つあって
1つは、お金を借りる(負債)方法
もう1つは、自分でお金を用意する(自己資本、純資産)方法です。
ここで大事なことは、資産の中には、他人から借りたお金(負債)と自分のお金(自己資本)の2種類があるということです。
自己資本の割合が低い会社は、自分のお金があまりなく、借金の方が多いということですから、
自己資本を集められない、または利益が減っている可能性があると判断できます。
もしそれが事実なら、経営が良い状態とは言えませんので、そのような会社の株は買わないほうが良いということになります。
だから、自分のお金(自己資本)と他人のお金(負債)の割合がどれくらいあるのかをチェックすることはとても大切なんですね。
では、資産の中に自分のお金がどれくらいの割合あるのかをチェックするには、何を見ればよいでしょうか?
答えは、自己資本比率です。
ちなみに、負債と自己資本を合わせたすべての資産を総資産といいますが、
総資産については、また後で解説します。
とりあえず、今は自己資本比率を見ることが大事だということを覚えておいてください。
お金の流れ(フロー)の基礎
続いて、資産からお金を生み出す技術が高い会社かどうかはどうやって判断すればよいのかについて考えていきましょう。
会社は持っている資産を活用して価値を生み出し、お金の流れを作っていきます。
お金を生み出す流れについての詳しくはこちらの記事をご覧ください↓↓
ただ、いくらお金を生み出すことができ、たくさんの売り上げがあっても、利益がなければ意味がありません。
100万円の売り上げのうち、利益が1万円なのか、10万円なのか、50万円なのか、90万円なのかで、意味合いが全く違います。
実際に世の中には、売上げはたくさんあっても、ほとんど利益が出ていない会社もあれば、売上げの9割ぐらいが利益になる会社もあるのです。
業種によって利益率の平均は全く違いますが、健全な会社を選ぶときは、同じ業界の中で比較して、利益率の高い会社を選ばなければなりません。
それをチェックするときには、営業利益率を見れば分かります。
ただ、営業利益率だけ見て安心することはできません。
なぜならそれだけではお金を生み出す技術が高いかどうかはまだ分からないからです。
どういうことかというと、
お金を生み出す技術の高い会社は、
利益が大きいだけでなく、
少ない資産から生み出す利益が大きいのです。
だから、どれくらいの利益を得たのかを見るのではなく、
どれくらいの資産からどれくらいの利益を得たのかを見なければならないのです。
同じ資産を持っていても、そこからお金の流れを生み出す方法は会社によって全く違うものです。
例えば、個人で考えてみても、
同じ価値の土地を持っていても、その活用の仕方は違いますよね。
駐車場にする人もいれば、アパートを建てる人もいますし、畑にして農作物を販売して収益を上げる人もいます。
また、資格を取得することも能力という資産になりますが、同じ資格を持っていても、その資格をどうやって活用するかで、得られるお金の額は全く違ってきます。
宅建やFP技能士などの資格を全く活用できない人もいれば、活用して高額な収入を得ている人もいます。
これは、自分の持っている資産からお金を生み出す技術に差があるということなんですね。
個人も会社も、お金を生み出す技術の高い方が、少ない資産から大きな利益を得ることができます。
だから、持っている資産を最大限活用して大きな利益を得ている会社を選ぶようにしましょう。
ただ、「どれくらいの資産からどれくらいの利益を生み出しているのかなんて調べられないよ」と思うかもしれませんが、
ちゃんとそれを表す指標があるので、その指標をチェックすればOKです。
その指標が、ROAとROEという指標なのです。
この2つの指標は、利益を作るのに、持っている資産を効率的に活かしているかをチェックする数字です。
ROA(総資産利益率)とは
ROAとは総資産利益率と言いますが、総資産からどれくらい効率的に利益を生み出せているかを表します。
先ほど話したように、資産には、他人から借りたお金(負債)と自分のお金(自己資本)の2種類がありますが、
総資産とは、他人から借りたお金と自分のお金の両方を合わせた全部の資産のことです。
総資産=負債+自己資本(純資産)ということですね。
そしてROAを表す式は、
ROA=利益÷総資産×100
この式だけ見てもよくわからないと思いますので、具体例に当てはめて考えていきましょう。
以下の2つの会社はどちらが効率的に利益を生み出せているでしょうか。
①利益が100万円:総資産1億円
②利益が100万円:総資産1000万円
この例なら、式に当てはめなくても分かると思いますが、
少ない資産から多くの利益を得ている会社の方がお金を生み出す技術に長けた会社となります。
念のため、式に当てはめてみますと
①の場合、利益100万円÷総資産1億円×100ですから
ROAは1%になります。
②の場合、利益100万円÷総資産1000万円×100で
ROAは10%ということになります。
ROA(総資産利益率)が高いということは、持っている資産から効率的に利益を生み出せているということですから、②の方がお金を生み出す技術に長けているということになります。
①のように資産(ストック)が大きい会社は規模が大きい会社と言えますが、
同じ業界で、売上げにそれほど差がない会社の場合、利益額や利益率にはそれほど差が出ません。
ですが、ROAを比べてみると意外と差がついている場合がありますので、チェックしてみましょう。
ROE(自己資本利益率)とは
続いてROEについてみていきましょう。
ROEは自己資本利益率といいますが、持っている自己資本からどれくらい効率的に利益を生み出せているかを見る数字です。
ROE=利益÷自己資本×100という式で表されます。
ROAは総資産に対する利益率だったのに対し、
ROEは自己資本に対する利益率となります。
これは株を買う人に向けた数値といってよいのですが
資産には他人から借りたお金(負債)と自分のお金(自己資本)の両方があるという話は先ほどしましたが、
自己資本とは、返済する必要のないお金のことをいいます。
会社が株式を発行することで資金を集めた場合は、返済する必要がない資金になるため、自己資本になります。
株を買う人から見ると、自分が出資したお金を効率的に利益に変えてくれる会社を選びたいものです。
それを示すのがROEというわけです。
株式で出資したお金を元手に、効率的にお金を生み出し利益をもたらしている会社ほど、ROEの値は大きくなります。
ROEの注意点
①利益が1000万円で、自己資本が5000万円の会社と
②利益が1000万円で、自己資本が1億円の会社のROEを比べると
①の場合、利益1000万円÷自己資本5000万円×100で、
ROEは20%になります。
②の場合、利益1000万円÷自己資本1億円×100で、
ROEは10%になります。
この場合、①の会社の方がROEの値が大きいため、少ない自己資本を効率的に活用して利益を上げているということで、優良な会社と言えます。
ただ、ROEで注意したいことは、
自己資本が少ない会社ほど、値が大きくなるため、
あまり自己資本を集められないような弱い会社でも、数値が大きくなってしまいます。
だから、ROEだけで判断してしまうと、超脆弱な経営をしている会社を選んでしまうこともありますので、
これまでお話ししてきた
自己資本比率、営業利益率、ROAなどの値も考慮して選んでいきましょう。
最後に、資産からお金を生み出す技術の低い会社の特徴を覚えておいてください。
それは、ブラック会社になりやすいということです。
資産があっても、利益が小さいということですから、
社員に長時間労働を強いたり、利益を無理やり出そうとして
強引な販売を社員に強いることになってしまうわけです。
そんな会社は世の中のためになりませんから、ブラック会社だと言われる会社の株は絶対に避けましょう。
株選びの基礎知識
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